東京高等裁判所 昭和28年(う)697号 判決
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〔判旨〕原判決の認定した被告人の業務上橫領の事実は原判決挙示の証拠によりこれを認めるに足り、記録を精査検討しても原判決の右事実の認定が所論のように誤認であることを窺うことができない。すなわち被告人のN地方事務所税務課長在職当時の同課員であつた甲、乙が所論のようにそれぞれ正式にN県出納員として任命され、臨時入場税の徴収保管の権限を有していたもので単に被告人の部下として徴税事務の補助をしていたものではなく、又臨時入場税については、所論のような事実上の事由及び徴税成績調整の必要から、税額の調定を保留することがあつたとしても、被告人も亦N県出納員として任命されていたことは被告人が税務課長として、同課に属する税務行政事務の総括処理、課員の監督の外自らも入場税を含む各種県税の徴収保管の業務に従事し、臨時入場税についてはその調定保留を課員に指示していたものであることは原判決の引用する丙、甲、乙の各司法警察員に対する供述調書、甲、乙の各検察官に対する各供述調書により認めることができるのであつて、原判決添附第三の一覽表掲記の金額はいずれも税務課員である甲乙等が納税義務者から徴収して被告人の指示により調定を留保した臨時入場税を被告人に命ぜられて被告人に引受して引継ぎ、被告人はこれを前記職務に関して保管していたもの、及び自ら徴収保管していた臨時入場税であり、被告人がこれを保管占有中その都度正規の手続によりN県金庫に納入すべきにかかわらず納入しないで擅に着服したことが右の各証拠その他原判決引用の証拠により認められるのであるから、被告人は業務上橫領罪の刑責を免かれることができないのである。